先週から引き続き、美しいナメ沢第二弾。
今回もグレードと内容を見て、ロープ・ハーネス・登攀具無しの空身同然のスタイルだ。
午後から雷雨の可能性があるため、午前中に沢を詰め上がってしまいたい。夜が明ける頃に遡行を開始できるよう、朝3時半に暗い林道を歩き始める。
何も考えずに出発したが、闇夜の霧掛かった林道歩きは相当不気味だ。お化けや熊などに出くわさぬよう、手を叩きながら歩く。
狙い通り、夜明けと同時に入渓点の笹穴沢出合に到着。
最初のゴルジュは水線突破など全くする気が起きず、左岸から小さく巻く。
ゴーロを坦々とこなし、笹穴沢出合着。
ここからは次から次へと小滝が現れるようになる。
快調に越えていくと、最初の大物2段30m滝が現れた。ホールド豊富な右壁を簡単に登る。
上には10m滝。左壁を直登する。続くすだれ状12m滝は右のフェースが威圧的だが、傾斜が緩い左壁を容易に直登。
明るく開けた沢筋を進むと、前方に堰堤のような25m滝が現れる。
赤茶けた岩肌が印象的。右岸の草混じりの段々フェースを登る。1段1段乗り越すような登攀で高度感がある。
ロープ&ハーネスを持たない身としては、いざと言う時にビレイを取れないのが不安だが、腹を決めてガシガシ登る。
上部が悪いと予想していたが、踏跡ばっちりの草付で全く問題なかった。
1年振りのフリーソロのせいか、思った以上に緊張した。
ホッとするのも束の間、お次は50m滝。
下部30mが垂直で上部20mはナメ滝となって続くが、とにかくスケールが大きい。巨大な滝がどんどん出てきて、笹穴沢もいよいよ本領発揮である。
右岸が開けているが、草付混じりの岩壁は上部でハマりそうな雰囲気濃厚。
ヤブ尾根から上部の緩いスラブをトラバースして巻けそうに見えるが、せっかくなので滝を登攀したい。階段上の右壁を登ることにする。
登っている途中で、真っ直ぐ上がるより、滝の中間バンドをトラバースするほうが簡単そうに見え、急遽ルートを変更。
外傾バンドから滝身に移り、シャワートラバース。
水圧でバランスを崩さないように慎重に通過する。
岩がヌメり、一歩のスメアに緊張したが、無事に上部に抜けることができた。一見怖そうなラインだが、登攀グレードはⅢ級程度で難しくない。
上部は傾斜が緩み簡単だが、スリップは致命的。50mのウォータースライダーなど考えたくもない。
先はいよいよ笹穴沢のハイライト、100m大ナメ滝だ。
壮大なスケールでそびえる姿は圧巻。まさに素晴らしいの一言。
最も易しそうな水流右を登っていくと、落ち口の上にはさらにナメ滝が続いている。途中で下を振り返れば、弧を描いた流れが何とも美しい。
もう十分満足したが、これでもかと言わんばかりに20m滝が現れる。右壁を直登できそうだが、比較的楽そうな左の草付から巻く。
さらに視界が広がり、開放感が増していく。いよいよ源頭が近い。そして最後の10m滝。
今後のためにもう少し刺激に慣れておこうと、とりあえず右壁登攀に挑戦。1段目のバンドに上がって滝に向かってトラバースする。
だが予想以上にスタンスが悪く、思い切ったムーブでなければ先には進めない。こんな所で怪我をするのも嫌なので、無理をせず早々に撤退。左の草付から巻く。
明るい源頭を水線通しに詰め上がると、最後はお花畑に飛び出した。
先ほどまでの青空はすっかりガスに変わってしまったが、こんな幻想的フィナーレも悪くない。
これで3度目となる平標山頂を踏み、笹穴沢の余韻に浸りながら下山した。
右壁をガバで快適に登れる。
左壁を直登。
滝と空と緑と岩と虹の対比が美しい。
左壁を登る。
難しくはないが高度感がある。
右壁から滝の中間バンドに移り、トラバース。
ちょうど傾斜が変わる手前の部分だ。
上部ナメ滝の左へ抜ければ後は簡単。
まさに天から落ちるのごとく。
この流れに心奪われた。
左の草付から巻く。
庭園のような風景。
右壁はノーロープではリスキー。
左から巻く。
霧に包まれ幻想的。
左から簡単に越える。