大台ケ原から滝身尾根を下降して中ノ滝へ。この滝は大きく3段から構成され、登攀ラインは終始右壁となる。
1P目:50m(Ⅴ) 宮城
右端のブッシュの凹角が易しそうに見えるが、ライン的にそそられないので、正面のすっきりした垂壁から取り付くことにする。バンドを左上後、スラブを直上。出だしが核心。
2P目:50m(Ⅲ) 大西
容易な階段状スラブを登って、凹角から大テラスへ。
3P目:50m(Ⅲ+) 宮城
凹角伝いに快適なスラブを直登。下段の落ち口に出る。
4P目:100m?(Ⅳ)
中段は右の凹角がラインになるが、易しそうなのでフリーソロ。2箇所ほど緊張感のあるポイントがあった。二人でフリーソロするのも変な気分である。
5P目:40m(Ⅴ-) 宮城
上段に差し掛かり、水流際の登攀でロープを出す。ボルトが一本あり、おそらく通常はエイド(A0)になるのだろうが、フリーで突破。ホールドが遠いのでリーチのない人ほど難しくなるだろう。
カンテを回り込み、いったんブッシュ帯に近付いたところで左にトラバース。水流に向かって進んでいくが、途中でロープが足りなくなり、ブッシュ帯まで戻ってピッチを切る。
6P目:50m(Ⅳ+) 大西
再び左にトラバースして水流に近付き、一部シャワーを浴びながらジグザグに弱点を付いて登っていく。登攀的にはそれほどでもないが、よいプロテクションが得られないので、メンタル面では厳しい。この時期のシャワークライムも辛い。
ハング壁に行き詰まったところで、右の垂直ブッシュバンドを辿って凹角の下へ。
7P目:50m(Ⅱ) 宮城
凹角の直登はフリーでは厳しく、右のブッシュ帯を回りこんで落ち口手前でピッチを切る。
8P目:20m(Ⅲ) 大西
そのままブッシュ帯を登れば楽なのだが、やはりラインにはこだわりたい。気合を入れて滝に向かってトラバース。冷たいシャワーを浴びながら水流を横切り、落ち口のど真ん中へ抜ける。
爽やかに高度を上げていける中ノ滝の登攀は、想像以上に素晴らしかった。
壁が大きく一見どこでも登れそうだが、実際には弱点が限られている。今回はできるだけ水線に近づくことで、十分満足のいく登攀となった。
純粋に登りたいと思ったラインに挑戦していく登攀はやはり面白い。