昨年アクアSシューズで入口敗退したホーキ沢。今年はタビで再挑戦。
出合のF1(12m)に取り付くが、あの滑りようは何だったのかと思うほどフリクションが効く。フリーソロで左壁を登り、上部は水流を避けて右に迂回。
F2(2段10m、下から6m、4m)は右を直登。F4(12m)は登れず、左岸巻き。
F5(8m)は一見登れなさそうだが、近付くと左壁にしっかりとホールドが繋がっているのが見える。念のためロープを出し、左のバンドからトラバース気味に右上。水流沿いの垂壁に出て、一部シャワーを浴びながら直登。
美しい連瀑F6(3段13m、下から2m、6m、5m)は登れず、右岸巻き。
多数の小滝をこなしていくと、F21と思われる15m大滝。右壁が登れそうに見えるので、とりあえず取り付いてみる。
下の岩をアンカーにして手前の脆いカンテからスタート。滝に向かって2つ目のカンテを回り込み、水流際に移る。縦ホールドの続く傾斜の強い凹角に入っていくが、岩が滑りやすい上に非常に脆い。
まともな支点が取れず、5m下で打ったハーケン支点も信用ならない。落ちればグランドフォールの確率が高く、失敗の許されないプレッシャーが付きまとう。気持ちを順応させるためにゆっくりと時間をかけてムーブを探り、ある程度行けそうな目処が付いたところで覚悟を決めて前進。
バランスを保ちながら隠れたホールドを探り当て、ランナウトして上部のテラスに出る。30mロープでは上まで一気に抜けられず(40mロープが良い)、落ち口手前でアンカーを作成。回収の登り返しを済まして滝上に立つ。
今回は遡行を面白くするために、あえて情報を得ないようにしていたが、登れるかどうか分からない状態での背水の登攀は、何ともいえない緊張感があった。(後から確認したところ、「関東周辺の沢」の記録では「左を直登」と書いてあった。おそらくそれはあり得ないので「右」の間違いだろう。)
F22(10m)は左岸、F24(10m)の斜滝は右岸から巻き、その上のF25(8m)は右岸の岩壁を回り込むように巻く。F26(10m)を右岸から小さく巻いて、足早に進んでいく。
ハングしたF31(10m)は手の付けようがなく、左岸巻き。F37(6m)とF38(3m)を左岸草付からまとめて巻いて、F39(7m)の斜滝を左から直登すると、最後のF40(6m)。シャワークライムを避け、右岸を小さく巻いて終了。
C1310の支沢(涸沢)から左岸の登山道に出て、チャリデポ地の西日影沢本流に向かって下降。登山道は地形図上では沢筋を下っているが、実際には西側の尾根へ続いていた。おそらく沢筋が大崩壊を起こしたためであろう。
チャリで孫佐島へ駆け下り、17時に駐車場に帰着。朝遅く出た割には思ったより早かった。後半は直登できそうな滝をいくつか割愛したが、いずれも容易に巻ける滝なので、あえて登らなければ、巻くのが一番理に適っている(この沢の大半の滝に言えることだが)。
とにかく今回は、F5(8m)とF21(15m)の登攀だけで、十分満足のできる内容となった。
天気が悪かったせいか一日中薄暗く陰鬱な沢だったが、この時期に行ける登攀的な沢としては貴重な存在だろう。